世界のお酒文化|東南アジア編

お酒文化

東南アジアには、どんなお酒があるのでしょうか。アメリカやヨーロッパに比べると、距離としては「日本に近い」という印象がありますが、文化の面では違いがある場合も多いかと思います。お酒についても、日本と東南アジア諸国では違いがあるかもしれません。なぜなら、さまざまな飲み物の中でもお酒は、その国の歴史や風土を特に色濃く反映するものだからです。
この記事では、東南アジアのお酒の歴史や種類についてご紹介していきます。

■東南アジアのお酒の歴史

お酒の発祥は、紀元前8000年ごろの古代メソポタミア文明におけるワインであったと言われています。その後、同文明においてビールが生まれ、製法が世界各地に広がっていきました。東南アジアも例外ではありませんが、独自に生まれた「トウモロコシやもち米といったデンプン質の多い穀物を麹と共に酒壺に詰め、発酵させる」という技術も確認されています。ワインのように「果汁」が元になるわけではないため、酒は液体とは限らず、固体であった文化もありました。

■東南アジアのお酒の種類

現在の東南アジアでよく飲まれているお酒は、「スピリッツ」です。スピリッツとは「蒸留酒」のことで、「酒を熱して気化したアルコールを冷やし、液体にする」という工程でつくる、いわば「酒からつくった酒」のことを指します。ウイスキーやブランデー、日本で言えば焼酎などがこれにあたります。

次によく飲まれているのが、ビールです。飲み方はヨーロッパと異なり「氷を入れて飲む」というスタイルが一般的です。これは、東南アジアは赤道に近く一年中気温が高い国々であり、人々は安価に、そして気軽に冷えたお酒を味わいたいためだと考えられます。

■東南アジアの各国の有名なお酒は?

東南アジアの国々における、特に有名なお酒をご紹介します。あまり日本では聞きなれない名称もありますが、それぞれの土地で親しまれているお酒です。ぜひお土産などにも選んでみてください。

・モンゴル/アルヒ
モンゴル語で「酒」という意味そのものでもありますが、「シミーン・アルヒ」は山羊、羊、牛の乳を発酵させたものを蒸留することでつくられる、歴史のあるお酒です。以前は入手しにくいお酒でしたが、最近は企業が製造しており一般的に出回るようにもなっています。口当たりが柔らかなお酒で、ミルクのような匂いがします。
「ツァガーン・アルヒ」というものもありますが、こちらは「ウオッカ」のことです。

・ラオス/ビアラオ
ラオス国内でビールと言えば、ビアラオのことである…と言われるほど有名なビールです。味としては日本のビールに似ているのですが、先にも触れたように東南アジアでの一般的な飲み方が「ビールに氷を入れて飲む」といったものであるため、少し薄く感じるかもしれません。きちんとした味を知りたい場合には、高級レストランに入る必要があります。

・フィリピン/エンペラドール
知名度としては「サンミゲル」というビールのほうが上ですが、「エンペラドール」というブランデーもとてもよく飲まれています。日本ではあまり馴染みがありませんが、エンペラドール社はブランデー世界最大手の企業であり、エンペラドールは「世界で一番売れている」というブランデーなのです。なお、日本人が飲むと「八つ橋の匂い」という感想が多いようです。甘くて安価なため、さまざまな飲み方が可能です。

■東南アジアのお酒文化まとめ

お酒文化

・東南アジアにもメソポタミア文明から酒の製法が伝わっているが、独自の製法もあった
・東南アジアで多く飲まれているのは「スピリッツ」(蒸留酒)
・東南アジアではビールに氷を入れて飲むスタイルが一般的
・現地では有名だが、日本ではあまり知られていないお酒がたくさんある

東南アジアは宗教的に「お酒になじみがないのではないか」という印象の国も多いかもしれません。しかし、それぞれの風習、風土に合わせた飲み方が考え出されているため、お酒はどの国でも人々に愛される飲み物となっています。「この国の、この土地でしか飲まれていない貴重なお酒」などもたくさんありますので、ぜひご自身でも調べてみてください。そういった珍しいお酒は、お土産にしても喜ばれそうですね。

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